ネット、出会い、恋、運命。

私が今の彼女と知り合ったのは一年半ほど前、それもインターネットの某掲示板でした。そこは決して健全な掲示板ではなく、表現を柔らかくすれば大人としての付き合いを募集するような場所。そこで、暇つぶし程度に連絡を取った相手が偶然にも同じ地域で、実際にホテルで会うことになるまで多くの時間はかかりませんでした。
 私はそういうネットで知り合った人物とリアルで会う、という経験は初めてだったので、とても緊張していたことを覚えています。凍えるように寒い1月の終わりのことでした。待ち合わせに早く着きすぎて、駅の時計台の下で寒さと緊張に震えながら相手を待っていました。
 そこに訪れたのは一人の可愛らしい女の子。服装と見た目からして高校生くらいに思えました。年を聞くと二十歳を越えているそうですが、とてもそうは見えません。それに、ネットでそういう相手を募集するような女性にも見えませんでした。見かけによらず、とはこういうことを言うのかな、なんてことを考えながら彼女を車に載せました。
 それからしばらくの間、週末に毎日会ってホテルに行く、という関係が続きました。彼女は地元の女子大生で、フランス語の勉強をしていて、実家暮らしで、妹が二人いて、料理は少し苦手で、初音ミクが好きで、ネットから誰かと会ったのは私が初めて、などいろいろな話を聞きました。大学生になって厳しかった受験勉強から解放されたけれど、遊び方がわからなくて、でも異性と遊んでみたくて、ネットなら誰かが声をかけてくれる、とそう思っていたそうです。彼女は異性と付き合った経験すらありませんでした。
 そんな関係が半年ほど続いたでしょうか、気づくと、私は彼女とホテルに行くことよりも、彼女に会えること自体を楽しみに、嬉しく思うようになっていました。一度そう思うともう感情は止められません、その時には既に私は彼女に完全に惚れてしまっていました。
 告白はあっさりとしたもので、また、それを受け入れた彼女もあっさりとしたものでした。ただ、ホテルに行く回数は減ったものの、お互いに心を満足させる回数が増えたように思います。今では最初はあんな出会い方だったのにね、と笑い話にできるくらいで、こういう恋愛の形もあるのだなあ、と運命の悪戯に感謝してみたくなります。
 あなたも暇つぶしにのぞく掲示板で、運命の人が待っているかもしれませんよ?